まだ九州です。

今日はお出かけしてきましたよー。

帰省中のため、西橋連合・九州支部の集いに臨時に混ぜていただきました（笑）。某様に携帯電話を持たせようの会、私は一会員でいいです。個人的にはSO７０■i がいいと思うんですよ。
ていうか優さん、あのセリフ忘れちゃいましたすみません。他の萌えが私の脳を圧迫して忘れさせたんですヒィ！
でも「化粧品売り場de西橋」は書けるような気がしますよふはははー。化粧品会社はジル・ス○ュアートをちょっと変えて作りましょう。（←決定かよ！）

アナスイでもいいんですけどね、大人の女性向けなら…マキアージュ？　クレー・ド・ポー？　ボビィブラウン？　MAC？　MaxFactor？（綴り合ってる？）　IPSAとかルナソルは違うや。アユーラもちょっと。シュウウエムラかRMKでもいいかも。個人的にはシュウかRMKに一票。ランコムもいいね。
紫乃さんに合うアイラインとアイシャドウの色は、どなたかネタをください。プリーズネタ。

ピンク系がいいかなあ、それともブルー。グリーン「は違うかな。やっぱ薄いパープル？　ココアブラウン→パープル→薄いピンク系？？
自分の顔は紫乃さんと違いすぎるから、試せないし（おいおい）。IKKO助けて（あの人に紫乃さんを触られるのは微妙に微妙…な気もするけど）。

うーむ、難しいや。
で、ネットから数日離れていた私に朗報が。あ、そうかーこれ続き書いていいんだvと思うとちょっと萌え。
という訳で、調子に乗ってテロもの・「Beautiful world」を。（下記・続きより）

「───哀しい夢を見たわ」

紫茉の手の中のグラスから、カラン、と小気味良い音をが聞こえた。




橋爪はカウンターの隣に座った双子の姉を振り返る。
そして「どんな」といつものように尋ねようとして言葉を失った。

肘を突き、グラスを揺らす彼女の瞳がまっすぐに、ただ静謐な色を抱いてただまっすぐに前を向いていたからだった。
最も近しい存在であるはずの橋爪がそこに居るというのに───これほど彼女の『心』が離れたことはついぞ、なかった。

「紫茉…？」

橋爪はおそるおそる、問いかける。一瞬応える沈黙に、紫茉の先刻のことばが何故かひどく重いものだったと、知る。
紫茉はそんな弟の問いが聞こえているだろうに、答えずにもう一度グラスを振ると、半ばまで入った琥珀色の液体を強めに飲み下した。

「…どんな夢を、見たの」

紫茉と橋爪は二卵性で、遺伝学的に言えば普通の姉弟と変わらない。
だがそれでは片付けられないはずの絆というものが昔から二人の間にはあった。性別を越えた何かが。

その時もそうだった。姉の心の重みが橋爪に伝わった。
それなのに姉の見た『哀しい夢』は橋爪には降りて来なかったのだ。

少しでも彼女の辛さを減らしてやりたい、そんな一心で橋爪はそう、尋ねる。
すると紫茉は何故か、ふ、と微笑ったのだ。

「紫茉？」
「夢の中でね、私はあんたなの。紫乃」
「…私？」

ようやく笑った紫茉は橋爪に振り返って、そう言った。
『戻って』来た姉に安堵する間も無く言葉の意味が分からずに目を丸くしていると、紫茉は頷きもう一度笑って───その笑みをみるみるうちに萎れさせていった。

「それで私…というより紫乃がね、西脇さんを見てるの」
「西脇さんを？」

すると紫茉は再び頷いた。

「私───じゃなくて紫乃は、彼を愛してる。とてもね……ああ、うまく言えない。
でも多分あれは『愛してる』としか言いようがない感情なの、私には。それで心がいっぱいなの」

普段聞けば赤面してしまうような言葉だった。
一瞬、橋爪の知らないところで西脇を見ていた紫茉が、夢の中の自分が羨ましいとすら思った。

しかし、ひどく寂しそうに紫茉が語るものだから橋爪はそのまま姉の言を聞き入れるしかなかった。

「…それの、どこが哀しいの？」

思わず尋ねてしまうと、すると紫茉は困ったように答えた。

「でもね、西脇さんはこっちに気づかないの。見えてない。
でもそれは、『仕方のないこと』って私が、紫乃自身が何故か分かってるの。
なのに紫乃は黙って立ってる。ただじっと、ひどく疲れてる、彼を見てたわ」
「紫茉…」

「愛してるのに、哀しいの」

───繊細なカットのグラスの中でまた、氷が揺れた。

「なんで、哀しいなんて思うのか…」

どうしてかなんて分からない、と紫茉は言った。

「もう言いたいことなんてない、聞きたいこともない。それは彼のすることなら何でも許せるから、って思ってる」

そう言った紫茉は複雑な表情をしていた。泣き笑いの時のような、思いを抱いたそれと似た。
しかし同時に自分が何を話しているのか分からない、それでも吐き出さずにはいられないと思っているのだろう。
そんな紫茉の葛藤が直接橋爪の心のひだに染みとおってきた。

橋爪とてこの言葉が他ならぬ紫茉から発せられたものでさえなかったら、こんなにも託宣のように聞こえはしなかっただろう。
だがその時は不思議と、橋爪はすんなり受け入れることが出来た。

「それでね」

口を噤んだ橋爪に、紫茉は更に続けた。どこか傷ついた宝石を見るような痛みを瞳に宿して。

「それで思うの。『あとひとつだけ』───」




「 『あとひとつだけ願いが叶うなら、もう一度だけ、あなたの隣で眠りたい』 って」


その言葉と切ない想いが橋爪の中にひそやかに染みとおり、沈み、そして蓋をされて閉じられた。
それは哀しい夢だった。
叫んでも叫んでも、彼のひとに届かないひとつの夢だった。




…こんな感じかな。
ていうか使うならプロローグはこれだな。
でも20万字って400字詰め原稿用紙に換算すると……おいそれとは書けんですよ。

やっぱテロリストで卑劣な手段使いまくる西はあまり見たくないので、表の事業で大成功してマネーロンダリングとかやらせるのどうかな(※社長じゃなくて秘書）。で、仇のボスの愛人に紫乃さんに生き写しのマッドサイエンティストとかいたらもう泥沼ーはっはっは。

これ以上えげつないことを考えたけど書けないからちょっと消しときます（笑）。
 

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曲萌えー

某新世紀の映画の主題歌である宇○田の新曲。
あのサビを聞いた時に一番に思ったのが「西橋」でした。

ていうか橋爪→西脇じゃないですか！？　あれ。

だって西脇はある意味戦闘員だから。
だからはっきり言って、戦闘要員ならもし海外とかのレジスタンスとかだったら、薄汚れた姿のまま銃を抱いてアスファルトの片隅で転がって死んだように眠るようなことだってあるはずなんですよ。

そこで、美しい紫乃さんがそっと彼のこめかみにキスですよ。（※実体でなくてもいいです）
疲れ果てた男の守護みたいなやついいですね。

どんな場所でもいいからあなたの隣で眠らせて、なんて！
それがたったひとつの願いだなんて。ああ、超カワイソー！（←って悲劇決定かよ）
これはもしかしたらアレだ、前思ってた「紫乃さんと岩瀬が死んでて残された西脇と石川がその復讐をするためにテロリストの組織に潜入する（西脇と石川絡みアリ）」話にぴったりかもしれない！！

※↑反転注意、「死にネタ注意・嫌いな方」は見ない方がいいです。忠告はしました。

こんな感じ。（下記・続きを読むより）

西脇にはもう石川しかいない、石川にも同様に西脇しかいないように。

あの頃の思い出は全てがすべて、今は亡い恋人と重なるものではないのだけれど、既に恋人の『居なかった風景』を思い出せなくなってしまっているぐらい───思い出は恋人と重なるあたたかいものであり、辛いものでもあった。

『ふたり』になってしまってから、昔の話はほとんどしなくなった。
正確に言えば、警備隊に居た頃の───内科医とSPが来た後の警備隊の話は特に。

そしてそんな過去に、目的である未来に両方繋がる存在は目の前に居る。
裏を返せば、それだけしか居なくなってしまった。

西脇の胸には恋人のロザリオが、石川の身には彼の妹が作った馨りが。それ以外はもう、お互いという存在しか残されていない。

あれから何十回と太陽は昇り、沈んだ。
一体何をしているのかと空ろになりそうな時も、どうしようもない夜も。一人ならば時折崩折れそうになる決心も、互いが居ることで思い出せた。改めて思い知らされた。
今自分たちは何のためにここに居るのかと───何の目的を果たすためにこの道を選んだのかと。

忘れるな、と。
無言で、相手の存在自体が、自分に問うのだ。
それはすなわち自分の鏡に他ならない。

復讐を、抱く。同じ復讐の念を抱く者が隣にいる。
かつては親友で上司と部下だった二人は、唯一無二の存在になった。そしてかつて顔を見る度に安堵と信頼と、ほんの少しの秘密を共有できた彼こそが、今や自分を最も苦しめる者となっている。
復讐という束縛をつきつけてそれを果たせと強要するかのように。お互いは一言も口に、出さない。だがその沈黙こそが雄弁に語るのだ。

何故あの存在を守れなかったと。

それでも逃れられない。選んだ『この道』から。
…それがどんなに、辛いことであっても。




もしどうしても作戦のために相手を裏切らなければならない時が来たとしたなら。

石川は西脇を裏切らない道を選ぶかもしれない。
最後まで二人で、真の目的を遂げようとする道を探すだろう。
しかし西脇は目的のために石川を裏切るかもしれない。
あるいは、石川が目的を遂げるために自分が死ぬことも厭わない。最終的に石川が目的を果たすならと、あっさり『その道』を選ぶだろう。

人はそんな西脇を悪と、偽善的と評するかもしれない。
しかしそれは石川の見るものと西脇の見るものは違うだけの話で、根底には石川に対する絶対の信頼というものがあるからこそ、出来ることなのだ。恋人が死ぬ前とは比較にならぬほどのそれが。

そして実は、石川とて西脇のそんな精神を理解している。
結局のところは途中のプロセスは違うものの、究極論に至らざるを得なかったとしたら最終的には「自分が死んだ後に西脇が想いを遂げてくれるだろう」と同じように思うに違いないのだ。
今や二人は対面しているようであり、その実互いの背を合わせて立っていた。




それでも西脇の目に映る世界は美しい。

───どんな世界にも神様の祝福があるんじゃないでしょうか。

そう、恋人が言ったから。

───わたしは、あなたの上にも、そうであってほしいと思っていますよ。

「………」

たとえ崩れかけた煉瓦の建物と、硝煙に彩られた空と、血溜まりと泥しかない場所でも。
そんな世界は、西脇にとって、美しい。

戦場の中、西脇は腕の中に長銃を抱いて空を仰いだ。
そして安い煙草を口から離し、くすんだ空へ向かって煙を吐いた。天上のひとには届くはずもないそれを。

───西脇さん。

今でも耳に残っている、最後の橋爪の声。
甘く哀しい、声を思い出して西脇は瞼を閉じた。






こんなんです。
もう切なくてせつなくてたまらんで、相手に会えないのにその手のぬくもりも想い出の中にしかなくなっていって、慟哭したり怒ったりってのがいいですー。

ちなみになんで形見の髪とかがないかっていうと、なにひとつ残っていないからです。
正確に言えば、残すことを許されなかったんです（あの西脇が、神なんて信じてないだろうにロザリオ…その持たなくてはならない経緯に涙だよ）。

どうしても辛かったら石川さんは泣けるだろうけど、西脇は泣けないだろうな。

世界は西脇と石川の恋人、ひと、一人が居なくなったぐらいでは揺らがない、それでも完璧に『美しい』。
それは許せない、って感じ。
はっきり言って自分の大事な人がいないんだから世界だって存在しなくてもいいのになんて思ったりするんじゃないですかね。あんまり愛していると。

で、なんで自分を置いていったんだとか、なんで自分は恋人が居ないのに生きていけるんだとか考えてもダーク。
そんな殺伐とした日々を送るうちに気づく、恋人の居る世界こそが自分にとっての「美しい世界」なんだということに…みたいな。

それに気づいたのに、恋人の愛した「愛しい世界」とはもっともかけ離れている血と復讐に身を置いている自分たちに悲しみを覚えて。でも復讐を捨てられるほど聖人でもなくて。

それでも、西脇はこの世界を美しい、と思うしかない。紫乃さんがそう言ったから。
二人揃って死にに行くようなもの、死に場所を探しているようなものですね。
でもお互いを殺せるかっていうとそれはムリ、みたいな。復讐もしないうちに、戦わずして死ねるかという思いがあるから、と。
既に共犯者。それで何もかも捨てて復讐の道へと行くのですね。

…てな風に！
書くなら「Beautiful world」ってタイトルで（笑）。
多分上下二段詰めで160P、20万字ぐらいの本になるでしょうから私にはムリですね。

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台風一過

今日は、ちょっとやる気を出して「地球（テラ）へ・・・」のＷパロ。
○○様にかなり好評だったのでv 書いちゃいました。（下記・続きを読むより）

ソルジャー・ブルー＝橋爪、ジョミー＝石川、キース＝西脇。　注：あくまで役どころ



青の間には静寂がたゆたっている。

主の安楽を邪魔せぬためにか、そこはまるで深い海の底のような神秘さと静けさに満ち溢れていた。
その闇の中に足を踏み入れた時、石川はいつも幼い頃に両親と訪れた水族館を思い出す。
扉を開いた石川の前には、いつもと変わらぬ光景が広がっていた。

「………」

白の衣を翻し、石川は寝台へ歩み寄った。
そこには、ミュウの長である彼が横たわっていた。薄茶の髪に白い肌、およそ生気を感じさせないほどに彼のひとは美しかった。童話で読んだ眠る美そのものであるかのように。

「ソルジャー」

石川は彼をそう呼んだ。
深い眠りに就いているのだろう、彼は目覚める気配を見せない。

最近はいつもこうだった。サイオンの訓練や会議など、新しいソルジャーとしてやらなければならないとことが山積みである石川は寸暇を縫っては彼のところを訪れている。
しかし彼は、明らかに石川がこの艦にやって来た時よりも『眠る』時間が長くなっていた。

───紫乃、と彼の名を呼ぶ。
そして伸ばした指先で彼の髪を梳いた。戦士とは思えぬほどやわらかく細いそれは、さらさらと石川の指の間をすり抜けては落ちた。




人工的な交配により生まれた石川は、人工子宮の中で育てられ、生を受けると育英都市で育父母の元で育てられた。
特に問題もなく優しい父母に育てられ、14の歳に成人検査を受けた。
その時に過去の記憶は全て抹消され、教育ステーションへ送られたのだ。
元々成績の良かった石川はメンバーズ・エリートの候補生になり、やがて卒業した。

そして任務と昇進を繰り返してきたある日───ミュウ（新人類）の思念波攻撃を受けた。
基地に戻ってESPチェックを受けた石川の結果は、陽性。

ＥＳＰ因子の認められた者は強制収容所か実験室に送られる。そこで待っているのは『死』だった。
悔しさと怒りとやりきれなさを噛み締めていた石川の前に現れたのが、紫乃だった。

あの時の彼の美しさと強さは、今でもこの瞼に焼き付いて離れない。

紫の長衣を翻す、白と銀の戦士。
紫乃こそが、オリジンと呼ばれるほどの最強の長、ソルジャーだったのだ。

紫乃は立ちふさがった友人を強力なサイオンでねじ伏せ、石川をミュウの本拠地、旗艦・シャングリラへと攫った。
そこで力尽き、倒れながらも紫乃は告げたのだ。石川こそが異端と追われるミュウであり、次代の長となるべき新たなソルジャーなのだと。

反発もした、詰りもした。不完全なミュウであった石川は考えを遮蔽することが出来ずに、周囲にその思考が溢れかえってしまうことが多かった。
だが紫乃は根気よく石川を導いた。

300年前、アルタミラの惨劇の中から逃げ出したミュウの中でも最年長であり、最も強い力を持つ紫乃の寿命はもう尽きかけている。起きて動き回ることが圧倒的に少なくなってきているのだ。

ひとは生きて死ぬのが自然な定め、ただミュウたちはその時間が長いに過ぎないのだ。
医師たちも首を横に振るばかり、彼はもう長くない。それを知っているのに認めたくないと石川は思った。




「……悠」

呼ばれて我に返った、紫乃が目を開けていた。
今は誰もが『ソルジャー』と石川を呼ぶ中、石川の名前を呼ぶのは紫乃ぐらいだった。その声は高くもなく、低すぎず石川の中に心地よく沈んだ。

「ああ、ごめん。起こしてしまったな」
「いや、構わないよ」

そう微笑すると橋爪はゆっくりと起き上がった。

「今日の訓練はどうだった」
「ああ、大分調子も良くて───」

受けた講義の内容や、力を制御する訓練、会議のことなどを話す石川を橋爪は穏やかな表情で聞いていた。

「順調なようだね。この間の怪我も治ったようで、良かったよ」
「あれはソルジャーが治してくれたから。高嶋は『やっぱりドクターは凄いですね』って言ってた」
「そんなことはないよ。彼も優秀な癒者（ヒーラー）だ」
「でも…」

『ドクター』とは橋爪の尊称だ。
ミュウは本来、体も弱く戦いを好まぬ穏やかな性質である。橋爪もまた、戦闘よりも癒しの術を得意としていた。それなのに300年もの間一人で千人のミュウを守り続け、第一線で戦い抜いてきた戦士でリーダーでもある。

その偉大な彼にいつまで経ったら追いつけるのか、と思ってしまうと自然と口が重くなった。
地球も仲間も、友も捨ててきたというのに。

その時頭を過ぎったのはたった一人の男だった。
石川と同じか、それ以上にマザーの期待を寄せられていたメンバーズ・エリートの彼。

「悠」

石川から流れる思念に気づいたのか、橋爪は困ったように微笑んで手招きした。
おずおずとベッドの端に腰掛けるときゅ、と抱き寄せられる。肩に預けられた頭の小ささに体の細さに、石川は胸を痛めずにはいられない。

「ごめんね」
「なんで、謝るんだ…」
「私がきみを攫ってきてしまったから」
「そんなことない！」

石川は声を大きくした。
成人検査時に覚醒し、処分されるミュウも多い中、石川はその検査をすり抜けた。
しかし何の因果か同胞であるミュウの攻撃で『目覚め』てしまった。

メンバーズの一員としてテラを動かす存在まで上り詰め、腐った政治を一掃しようとした目的を絶たれて随分と恨みもしたけれど、結局いつかはミュウであることが発覚して石川は殺されていただろう。
今となっては自分を救ったのが紫乃であってよかったと、心から思えるのに。
それなのに彼の命は消える。もうじき。

「頼む、から───」
（もっと生きて）

抱きしめ返される腕の強さと共にそんな切ない優しい思念を感じ取り、橋爪はそっと目を閉じた。




石川が青の間を去り、ひとりになると橋爪は再び寝台に横たわった。

「………」
石川の思いがまだ、目に見えるようだった。残してきた仲間、部下への思い。地球への思い。目指した目標。そしていつも共に在った男。

『石川！』

あの時、石川を救いに行った時に銃をためらいも無く向けたメンバーズ・エリート。
サイオンで弾丸を止め、彼の体を弾き飛ばしてもなお強い意志で以て立ち上がり此方を睨みつけてきた彼。

『ミュウは存在してはならないものだ』

偶然とも呼べる邂逅、彼はそう言った。
サイオンも無線も通じぬ室内に閉じ込められて、衰弱しかけた橋爪を腕の中で抱きながら。

『それなのにお前も俺も、同じものを見てる』
地球へ、という想いを感じた。

───西脇巽。
『紫乃』

石川ではなく他の長老たちでもなく、あの男にそう呼ばれると何故だろう。胸がざわめく。

怒りでもなく恨みでもなく、ただ淡々と理性を並べて橋爪も、石川ですらも刈ると宣言した男。
諸悪の根源であるコンピュータ、グランドマザーの申し子と呼ばれる彼。

あの目が誰かの操り人形ではなく、紛れも無く意志を持って自分を───ミュウを追うと雄弁に語っていた。
彼の中には人間を『完璧に』コントロール下に置いたＳＤ体制への疑問が在るというのにだ。
洗脳すれば何世紀かぶりに現れる、ミュウの『理解者』になれるかもしれない立場の者かもしれないというのに。彼はきっと、そうならない。橋爪は思った。

彼は自分の意志で橋爪に相対するところに立っている。
何故マザー側にそこまでつくのだろう、と橋爪は思った。

『あんたが』

橋爪が弱り、上手くサイオンが使えずに酸素が薄くなった鋼鉄の部屋の中。
橋爪に比べればまだ体力が勝る彼がそう言って低く笑った。

『あんたがミュウでさえなかったら、ここまで魅かれることはなかったかもな』

そう、接吻けてきたあの熱さをまだ覚えている。

（もうあんな偶然はないだろう）
次に会う時は、恐らく彼か自分が死ぬ時だと橋爪は思った。

その日は近いことを知っている。橋爪は予知の能力は強くないが、戦闘前の勘というものがいつも外れたことはなかった。そして何か、強い力が近づいてきていると知っていた。

「………」
『その日』が早く来てほしいような、愛し子である悠のために皆のために来て欲しくないような───そんな矛盾する気持ちを橋爪は噛み締めた。

（あの瞳）
西脇のあの強いまなざしを思い出す。
───分かったように私のことを見通すあの目が、私を落ち着かなくさせる。

「…は…」

これではまるで、恋をしているみたいだと橋爪は思った。
三十年も生きていないような相手に対して何を、と自嘲をの笑いを落としながら、自分でも分かるほど細くなった腕を上げ前髪を弄ぶ。

そしてゆっくりとその手を下ろし、あの男そのもののような熱のあるキスを味わったくちびるに、触れた。
サイオンの力もない男にこんな複雑な思いが届くはずもないのに、と思いながら橋爪は再び瞼を閉じた。




私はブルジョミでキスマツですが、↑この話で紫乃×石川ではありません。
ていうかマツカ誰よ。
そして岩瀬は…トォニィ？（苦笑）　いえ、続きません無論。
息抜きにどうぞおつまみください。

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夏コミは皆様お疲れ様でした。

私は一日目がもう暑く、午前中なんか死に掛けてました（結局コピー本作った）。

それで疲れてしまい二日目は寝てばかりでしたが…さすがに二日連続で行く元気はなかったです。
三日目は仕事でバッチリ会社に軟禁されてましたし…。

遅まきながら、「地球へ・・・」が好きですね。
ソルジャー・ブルーとジョミーが好きなのですが、これを西橋でやるとしたらやっぱりメンバーズ・エリートに石川・西脇。ソルジャーに橋爪。

（下記・続きを読むより）

将来を嘱望されたメンバーズ・エリートの西脇と石川。
二人は良い友人でライバルだった。

しかしある日、任務先でミュウ（新人類）の思念波攻撃を受けた二人。帰還後、西脇は何事もなかったが石川にはESP反応が認められ、処分されることになる。

自分でもよく分からないまま、捕われた石川に密かに会いに行く西脇。
西脇の身を案じ、自分のことを忘れて地球（テラ）政府の一員となり国を立て直せと言う石川。

格子越しの二人の会話。
しかし石川を置いてはいけない西脇の前に、侵入者を告げる機械音の警告が鳴り響く───「侵入者アリ、排除セヨ」。

そして爆音と共に広がった煙の向うに立っていたのは、人類の敵、ミュウ。銀の衣を翻した美しい青年だった。

銀青色の髪に紫の瞳は、まぎれもなくミュウの長であるソルジャーであり、そして西脇の敵であった。

咄嗟に石川を庇う西脇。しかしソルジャーは西脇を倒し、石川を連れ去ってしまう。その時から西脇にとってミュウは追うべきものとなった。
一瞬で西脇の心を掴んだあのソルジャーを捕まえるために。



こんなん？

もちろんソルジャーは紫乃さんですよ。そして命が尽きかけていて、次のソルジャーとして石川さんを連れてったわけです。
そんなことを西脇は知らないし。エリートとしてミュウを追い、敵として相対するわけです。
しかし能力に芽生えた石川さんの手引きで時々会うってのどうかな。

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何ということ！

昨日寝るために横になっていたら、ふいに私も監禁を思いついてしまったではないか。
某場所で目にしたのが強烈すぎたか。ブラボー。

中身を「こうでこうでこう」と考えていたら、うほー危ないなぁこの話、なんて思ったり。
中村中の新曲の中の１フレーズ、「私を一晩買ってください」がふと頭をよぎったのが悪かったか。

あ、監禁つってもメインは縄系の束縛です。紫乃さん服の下に縛られてるって設定で。
こんな感じですか（原稿は進まないのに何故かこれはさっくり書けた）

下記・続きを読むよりどうぞ。

「縛ってください」
「…紫乃」

「あなたは私が何処かへ行くのか不安なのでしょう。だったら私を縛ってください、がんじがらめにして。
私にあなたを刻んでしまえばいい。どこにも行けないように」

文字通りの意味だった。
自分の中の理性、常識というものが西脇の前に屈服する。それを知っていながら橋爪は止める術を持たなかった。

この閉鎖された空間で過ごすうちに可狂しくなってしまったのかもしれない。

否、それは西脇の所為だけではない。
この男は扉に鍵をかけるどころか堂々と開け放ち、「出て行きたければ出て行けばいいよ？」と笑うのだ。

それはいっそ残酷な微笑だった。
この手を離してしまえば二度とないことを橋爪は知っている。
それは西脇という男の深淵を覗く機会がもう来ないということだ。同時に彼に見捨てられるかもしれないという思いが強く、強く橋爪を支配した。



（ああ）
やはり自分はどこか可狂しくなってしまったのだろう。

西脇に与えられた戒めは橋爪を痛めつけることはなく、ただその身を鈍く縛った。
西脇は決して橋爪を殴ったり血を流させたりはしない。むしろ平素より丁寧に、扱う。

束縛そのものも激痛を与えるという訳ではない。それなのに身動きする度に細い縄がきり、と橋爪の肌に擦れて、否応なく彼につけられた戒めを思い出させるのだ。

それはただ、日常の最中で西脇のことを思い出すこととは全く違う。
鈍く、神経を擦る痛みが身に走るたびに、これは西脇のつけた疵だと、これは彼の深い執着だということを思い起こさせるのだ。常に。いつもいつでも。

「………」

橋爪は西脇のシャツを両手で握り締めたまま項垂れた。その拍子に、さらりと髪が零れ落ち男の眼下に真白いうなじが露になる。
西脇は無言のまま、懇願する橋爪の前に立ち尽くしていた。
固く固く目を瞑っていた橋爪だったが、あまりに西脇のいらえがないことに不安になりかけたその時。

「…！」

西脇の両手が橋爪の上腕を外から包み込んだ。服の下に施された縄がまざまざと感じられて、びく、と橋爪はふるえる。

「───嘘つき」
「に、しわきさ…」

顔を上げた橋爪は、自分を覗き込む西脇の瞳と正面から向き合うことになった。
そしてそこに宿った瞳の光の強さに、息を呑んだ。

何と言えばいいのだろう、ひどく優しかったのだ。

ただ橋爪を見つめているだけなのに、同時に目に映らない触手に全身を絡め取られたような気すらした。
歪んだ男がそこに居る。
───鬼の顔をして。



「縛られるのが好き、なんだよね」

問いかけのかたちで落とされたそれは今更だが橋爪の羞恥を煽った。
そんな橋爪の喉を西脇は、片手で押えて哂った。

「怖くなったの、ドクター。
俺に縛られてどこにも行けないようにされて、それなのに外に連れ出されたら戻りたいって泣いたよね。
俺に縛られなくなることが、怖くなったの。ああそれとも」

ふいに西脇は言葉を止め、くつ、と洩らす。

「俺が、ドクターを縛りたいからじゃなくて本当は縛られたいんでしょう。
縛られて、やさしくやさしく、されたいんでしょう」

西脇は橋爪のくちびるをまるで煽るように、舐めた。

「ねえどうなの？」
「あ、」

西脇のもう片方が、腕を通って腰を撫で、橋爪の背に廻っていた。
シャツの下に走る縄をついと横になぞられると、ぞくぞくと、腰骨のあたりから疼きが這い登って来た。



───いつも、彼の横に立ちたいと思っていた。

そう在りたい願いと、そう在ってもいいのだと誰かに認めて欲しかった。それは西脇であったり、当の橋爪自身だったとも言える。

だが西脇が自分を覆うプライドを捨てたこの極限の状態で、それが何になるというのだろう。
西脇は橋爪を閉じ込めておきたい、そして橋爪は彼の中に居たいのだ。

そう気づいた時、橋爪の中でも何かが崩れた。

紫乃、と歌うように低いバリトンが耳に注がれる。
橋爪はその声に、自分の足先から蕩けていくのではないかとすら思えた。

ええ、と洩らすと「聞こえないよ」と苦笑される。

「ええ、そうです…」

橋爪はいつの間にか引き寄せられていた男の背に両腕を回して目を閉じた。
西脇の体温が伝わる。同時に、腕に巻かれた縄のごつごつした感触が、彼の膚に伝わっているのだろうと思った。

（ああ）

西脇の与える歪んだ愛情───執着というものは橋爪を絡め取ってしまった。
彼の衝動の表れとも言うべき束縛がないと、息も出来ないくらいに。皮肉にも縛られることで心から橋爪は西脇を受け入れることが出来た。
それはとても温い幸福だった。

「あなたが欲しい」
「紫乃」

───だから私を縛って。
そう洩らすと、西脇はやはり沈黙した。

そして、一度息を吸って言った。
声を殺していたらこれ以上撃たれることもなかったのにと、どこか他人事のように西脇が囁いた。それは目を閉じた橋爪の耳にかすかに届いたような気がした。




…て感じで。
ダメだな、あんまり上手く出来ません。まあ続くとしたら秋以降かと。

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