category:萌え(SSS込み)
「委員会が見てる」、完結編の最終章・第2話。
ちょっと怒涛の展開。
さて何でこんなことに! (あ、ラブはありませんね)
次で終わるか不安になってきた…無理かな?
ていうか、バス運転手はどうなったの(苦笑)。
ちょっと怒涛の展開。
さて何でこんなことに! (あ、ラブはありませんね)
次で終わるか不安になってきた…無理かな?
ていうか、バス運転手はどうなったの(苦笑)。
憧れていた。
始まりは、ほのかな恋だった。
だが二人の間にあったものはそれではなかった、と思う。
追いかけて追いかけられる者。手を焼かせる者と、使命感に燃える者。ただの医者と隊員というものよりは少しだけ重みのある何か、があったに過ぎない。
事実、お互いが意識して歩み寄って関係を深めて行こうというそぶりはなかったのだから。
そのままの状態で時間が経ったらお互い他の人を選ぶことになっていたかもしれない。
つかず離れず───ただそれは安定と同じだ。
その『安定』こそが、あったのだ。
しかしそれを、その先に 『在るかもしれないもの』 の、可能性を他ならぬ西脇が教えた。
あのバッジを差し出したときに二人の間では何かが始まり、そして何かが終わってしまったのだ。
「ドクター」
「…巡回行ってくるよ」
ちょうどやってきた高嶋にそういい置き、どこか悄然とした気持ちで医務室を出る。
時間は夕刻近くになっていた。
準夜勤だった西脇はもう仕事を終えただろう。朝は遠くにその姿を見、彼が北門に去るのを待って庭へ出た。西脇には気づかないふりをした。
だが今の時間帯なら会うことはないだろう。そう思った。
医務室を出て、加療中の隊員の様子を確認したところで橋爪の白衣のポケットに入れた携帯端末が鳴った。
インカムを持たない医務班の者は、呼び出しがかけられるように携帯端末を持たされている。それは病院内部で使われている特殊な電話だった。
警護に当たる隊員の携帯電話の私用通話は認められていないが、医務班の持つこの端末はインカムと同様と考えられていた。
そしてもうひとつ機能があり、番号を登録しておけばインカムとの通話が可能なのだ。
『ドクター』
「石川さん?」
その時に呼び出してきたのは石川だった。
「どうなさったのですか」
『医務室にいなかったから。悪いんだけど、委員会から預けられた資料があって…明日までに確認してほしいって言うから、外にいるなら丁度良い。取りに来てもらえないかな』
「あ、はい。わかりました」
場所を告げて石川からの通信は切られた。
石川が連絡してくるとは、珍しいこともあるものだと橋爪は考えつつも端末をポケットに戻す。
そしてそのまま廊下を歩いてエレベーターに辿り着いた。
「あれ」
階上のボタンを押そうとして、気づいた。張り紙がしてある。「調整中」───その文字に何故か肩透かしを食らった気がした。
それでも使えないのならば仕方がない。石川が指定したのはここから5階上の部屋だった。それならばエレベーターを使うまでもないだろう。
そう判断して、橋爪は隣の非常階段に続くドアを押した。
非常階段は豪奢な会議場などと比べて装飾も少なく、色も灰色のみという非常にシンプルな造りだった。
壁も防音などは施されておらず、階段そのものに使われている素材もまた違うのだろう。他の階段とは異なる、かん高く響く足音が吹き抜けになっているそこに響いた。
そのまま橋爪が三階分を登った時だった。
「…!?」
重厚な金属音が聞こえたと思った瞬間、ガシャンとどこかでシャッターの閉まった。
同時に響き渡る複数の足音。
隊員の靴音ではない、ブーツのようなものが走るそれに、橋爪は非常階段の扉を押し開ける。
廊下に出た橋爪は驚きに目を見張った。
角から曲がって来た者たちは全身黒尽くめで覆面をしており、手には小火器を手にしていた。ほぼ皆が、機関銃を手にしている。
橋爪はそれらの者と、遭遇する形になった。
「何ですか、あなた達は!」
訓練かと思ったのは一瞬だった。
男───体格で分かる、男だ───たちは、橋爪に銃口を向けたのだから。
いらえなど待っていられなかった。咄嗟に地を蹴っていた。
銃を撃つ音と同時に、白衣の裾が何かを掠める。
「追え!」
「…ッ」
味方ではない。迸る殺気に橋爪は、一瞬で胃の腑が冷えたのを感じた。
逃げなければならない、そう思いただ走る。時折、橋爪の近くの壁に弾が放たれた。
しかし橋爪に、その中の一人が追いついた。
「!」
腕を取られようとしたその時、橋爪は腕を突きの形で押し出し男の咽喉を殴りつけた。
男がひるむ。
その隙に片足で回転し、蹴りを腹部に叩き込んだ。
男がエスカレーター階段から転げ落ちてゆく。その隙に橋爪は走った。
ちらりと視界に入った、咄嗟に受身を取っているその姿勢に、訓練されているなと橋爪は感じた。
つい今しがた入れた肘も、寸でに躱され、腕の半ばまでしか当てることが出来なかったのだ。
(何故? なんで、こんなことに)
なおも追ってくる者の気配がする。怒号、ブーツの音。
恐慌に駆られながらも、易々と侵入を許すなどありえない、と思った。
一体どうなっているのか───そう焦りながらも走り続けたその時。
「!」
誰か、目の前の硬いものにぶつかった。それは人の体だった。背の高い男のようだ。
敵か。反射的にその人物の顎の線に拳を突き出す。狙ったそれは確実に男を仕留めるはずだった。
しかし橋爪のその拳は、鋭く、それでいてあっさりと払われた。
(!?)
まるで羽虫を落とすかの如く。なぜ、と思ったところで「ドクター」と『彼』がその低音で橋爪を呼んだ。
橋爪はハッとして顔を上げる。
「に…しわきさん」
声が掠れた。
何日ぶりだろう、そこに居たのは西脇だった。
****************************
さて西は敵なのか味方なのか!?
注釈) 小火器=歩兵が使う銃のことと思ってくだされば。
インカムは持ってないのかなーと。
ま、映画監督の案内のときはつけてたけど、外警班長の特別の時は常備してる感じじゃなかったので。
始まりは、ほのかな恋だった。
だが二人の間にあったものはそれではなかった、と思う。
追いかけて追いかけられる者。手を焼かせる者と、使命感に燃える者。ただの医者と隊員というものよりは少しだけ重みのある何か、があったに過ぎない。
事実、お互いが意識して歩み寄って関係を深めて行こうというそぶりはなかったのだから。
そのままの状態で時間が経ったらお互い他の人を選ぶことになっていたかもしれない。
つかず離れず───ただそれは安定と同じだ。
その『安定』こそが、あったのだ。
しかしそれを、その先に 『在るかもしれないもの』 の、可能性を他ならぬ西脇が教えた。
あのバッジを差し出したときに二人の間では何かが始まり、そして何かが終わってしまったのだ。
「ドクター」
「…巡回行ってくるよ」
ちょうどやってきた高嶋にそういい置き、どこか悄然とした気持ちで医務室を出る。
時間は夕刻近くになっていた。
準夜勤だった西脇はもう仕事を終えただろう。朝は遠くにその姿を見、彼が北門に去るのを待って庭へ出た。西脇には気づかないふりをした。
だが今の時間帯なら会うことはないだろう。そう思った。
医務室を出て、加療中の隊員の様子を確認したところで橋爪の白衣のポケットに入れた携帯端末が鳴った。
インカムを持たない医務班の者は、呼び出しがかけられるように携帯端末を持たされている。それは病院内部で使われている特殊な電話だった。
警護に当たる隊員の携帯電話の私用通話は認められていないが、医務班の持つこの端末はインカムと同様と考えられていた。
そしてもうひとつ機能があり、番号を登録しておけばインカムとの通話が可能なのだ。
『ドクター』
「石川さん?」
その時に呼び出してきたのは石川だった。
「どうなさったのですか」
『医務室にいなかったから。悪いんだけど、委員会から預けられた資料があって…明日までに確認してほしいって言うから、外にいるなら丁度良い。取りに来てもらえないかな』
「あ、はい。わかりました」
場所を告げて石川からの通信は切られた。
石川が連絡してくるとは、珍しいこともあるものだと橋爪は考えつつも端末をポケットに戻す。
そしてそのまま廊下を歩いてエレベーターに辿り着いた。
「あれ」
階上のボタンを押そうとして、気づいた。張り紙がしてある。「調整中」───その文字に何故か肩透かしを食らった気がした。
それでも使えないのならば仕方がない。石川が指定したのはここから5階上の部屋だった。それならばエレベーターを使うまでもないだろう。
そう判断して、橋爪は隣の非常階段に続くドアを押した。
非常階段は豪奢な会議場などと比べて装飾も少なく、色も灰色のみという非常にシンプルな造りだった。
壁も防音などは施されておらず、階段そのものに使われている素材もまた違うのだろう。他の階段とは異なる、かん高く響く足音が吹き抜けになっているそこに響いた。
そのまま橋爪が三階分を登った時だった。
「…!?」
重厚な金属音が聞こえたと思った瞬間、ガシャンとどこかでシャッターの閉まった。
同時に響き渡る複数の足音。
隊員の靴音ではない、ブーツのようなものが走るそれに、橋爪は非常階段の扉を押し開ける。
廊下に出た橋爪は驚きに目を見張った。
角から曲がって来た者たちは全身黒尽くめで覆面をしており、手には小火器を手にしていた。ほぼ皆が、機関銃を手にしている。
橋爪はそれらの者と、遭遇する形になった。
「何ですか、あなた達は!」
訓練かと思ったのは一瞬だった。
男───体格で分かる、男だ───たちは、橋爪に銃口を向けたのだから。
いらえなど待っていられなかった。咄嗟に地を蹴っていた。
銃を撃つ音と同時に、白衣の裾が何かを掠める。
「追え!」
「…ッ」
味方ではない。迸る殺気に橋爪は、一瞬で胃の腑が冷えたのを感じた。
逃げなければならない、そう思いただ走る。時折、橋爪の近くの壁に弾が放たれた。
しかし橋爪に、その中の一人が追いついた。
「!」
腕を取られようとしたその時、橋爪は腕を突きの形で押し出し男の咽喉を殴りつけた。
男がひるむ。
その隙に片足で回転し、蹴りを腹部に叩き込んだ。
男がエスカレーター階段から転げ落ちてゆく。その隙に橋爪は走った。
ちらりと視界に入った、咄嗟に受身を取っているその姿勢に、訓練されているなと橋爪は感じた。
つい今しがた入れた肘も、寸でに躱され、腕の半ばまでしか当てることが出来なかったのだ。
(何故? なんで、こんなことに)
なおも追ってくる者の気配がする。怒号、ブーツの音。
恐慌に駆られながらも、易々と侵入を許すなどありえない、と思った。
一体どうなっているのか───そう焦りながらも走り続けたその時。
「!」
誰か、目の前の硬いものにぶつかった。それは人の体だった。背の高い男のようだ。
敵か。反射的にその人物の顎の線に拳を突き出す。狙ったそれは確実に男を仕留めるはずだった。
しかし橋爪のその拳は、鋭く、それでいてあっさりと払われた。
(!?)
まるで羽虫を落とすかの如く。なぜ、と思ったところで「ドクター」と『彼』がその低音で橋爪を呼んだ。
橋爪はハッとして顔を上げる。
「に…しわきさん」
声が掠れた。
何日ぶりだろう、そこに居たのは西脇だった。
****************************
さて西は敵なのか味方なのか!?
注釈) 小火器=歩兵が使う銃のことと思ってくだされば。
インカムは持ってないのかなーと。
ま、映画監督の案内のときはつけてたけど、外警班長の特別の時は常備してる感じじゃなかったので。
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