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サイト日記。G-DEFEND西橋カプ多し。
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大塚愛の曲、続きを。

明るめ死にハピエン(?)も書けそうですが、もしくはあれだ。
「橋爪が大人で、西脇が子供」話。
2007年10月8日のネタ。
これです→ http://lachocolatier.blog.shinobi.jp/Entry/7/


どうもこの歌は、恋を超えた家族の愛、ってのを感じたので書き殴ってみましたSSS。
本当はアンケお礼にしたかったのですがどうも収拾がつかないので。
すみません。そのつもりで読んで頂ければ嬉しいです。

いえ、でもこれ、マジメに考えたらKISSとかコーラスとかに載ってそうな話にする自信がある(笑)。
ホ○じゃなけりゃねー。

───巽くん、お父さんとお母さんが亡くなってしまったよ。

ある日いきなり、彼は目の前に現れてそう言った。
留守がちの両親が、居なくなった。それ自体は子供には少なからず影を落とすものであったと思う。
だが西脇はそれよりも、膝をついて自分を抱きしめ、涙を流す彼の姿にこそ心を奪われていた。

はらはらと、ただ、はらはらと頬を落ちる涙。
金の睫、美しい顔(かんばせ)。

それがひどく、綺麗だと思った。




「紫乃」
「うーん」
「紫乃、起きろ」
「あと5分、寝かせて…」

揺さぶる腕から逃れようと、橋爪はカシミアの毛布を引き寄せて寝返りを打った。
背を向けた橋爪に、呆れたような小さな溜息を落とした少年は、次の瞬間上掛けを勢いよく引っぺがした。

「!」
途端、寒気を覚えて橋爪は目を開く。
橋爪の身体の上に奪い去られた布団を求めて、反射的に起き上がった。

「布団返して」
「ダーメ。もう時間、支度しないと遅刻するぞ」
「ちぇ…」

未だ睡眠に未練を残す橋爪をベッドから追いやり、少年はリネンを取り去ってゆく。仕方なく橋爪は浴室へ向かうしかなかった。
そんな彼をちらりと見遣り、「10分で上がってこいよ」と少年が念を押す。適当な返事をしながら橋爪は衣服を脱ぐとシャワーのコックをひねった。

彼、西脇巽が橋爪の養い子になって7年になろうとしていた。




橋爪紫乃は元々、帝都大学付属病院に勤務する内科医だった。
橋爪は飛び級で人よりも早く大学を卒業し、18歳の時に研修医となった。
逸材としての賞賛も高く、そのまま大学に残り研究の道を行くか、末は教授とも言われていた。

ところが研修の二年目に、大学病院付属の、都南高度医療センターに配属になりそこで勤務していた時のこと。
あと少しで研修も終わるかという頃、事故で運ばれてきた夫婦が亡くなった。
橋爪が当直の日のことだった。

直接的には橋爪の所為ではない。だがその夫婦というのが、都内でも有数の私立病院の理事長夫妻だったのだ。
夫妻に近しい親族は居らず、遺体が眠る霊安室の外で、絵に描いたような相続争いが起きた。
その様は、修羅場に慣れたはずの病院のスタッフをも眉をひそめかねないものだった。
それを一喝したのは堺外科部長だった。
夫妻───西脇夫妻は、橋爪の恩師の堺外科部長の親友だったのだ。

「ワシは色々手配することもあるから、病院を離れられん。橋爪君、君は済まんがボウズを迎えに行ってやってくれんか」
そう言われて、橋爪は小学校へと向かった。

教えられたメモを手にタクシーを降り、並木道を歩いた。
薄い灰色のアスファルトが太陽の光の下、白く輝いて見えた。その両脇に植えられた桜が、見事に薄紅に染まり、人ひとり居ない真昼の中でどこか朧な世界のようにすら映って見えた。
桜はとても綺麗に咲いていた。

やがて大きな正門の前にたどり着く。校舎の日陰になったそこには誰の姿も無かった。
風がざっと、吹いた。

その時、橋爪の耳に砂利を踏む足音が届いた。
やがて現れたのは一人の子供。印象的な目をした少年だった。

───ああ、似ている───。

橋爪は痛ましさと同時にそう、思った。
運ばれてきてから息を引き取るまで、橋爪も治療の場の片隅に居た。居眠りしたトラックに突っ込まれた瞬間、身重の妻を庇った男性と、とても面差しの似た少年だった。
頬のカーヴは、夫の死後後を追うように亡くなった妻に似ているだろうか。
目にした瞬間、泣きたくなった。

佇んで動けない橋爪の前に来た少年は、まるで何かを知っていたかのように足を止めた。

見上げてくる強い瞳に、我慢が出来なくなった。
巽くん? と尋ねると小さく頷いた。

橋爪は急に何もかもが悲しくなった。ちいさな命を、妻を守ろうとして亡くなった父か、母か、すべてを一度に喪ってしまった少年に対してなのか。

勝手に膝が崩れた。少年は驚くでもなく橋爪を見ている。

───巽くん、と呼ぶ声がふるえた。

巽くん、お父さんとお母さんが亡くなってしまったよ。

私は助けられなかったんだよ───とその声を飲み込んで、橋爪は小さな子供を哀れみから守るかのように抱きしめる他なかった。




それが二人の出会いだった。
本来なら橋爪の役目はそれで終わるはずだった。
ところが遺児となった巽が橋爪と離れることを由としなかった。たった一人いるという父の弟、叔父は海外で連絡が取れない。
橋爪と離れない巽を見て、どこで血が繋がっているか分からぬ大人たちは「財産目当てか」と攻め立てた。そんな二人を、悪意から守ったのは堺だった。

彼はどこでどう手を回したのか、叔父を一度だけ帰国させ、弁護士も交えて話し合いを行った。
そして書面上は親権を叔父が持ち、後見人を堺が務めることとなった。
病院も、西脇の親族と称する者と堺、果ては大学病院の教授まで巻き込んで、堺の見込んだ者が院長を務めることになった。

そして巽は、双方の強い希望で橋爪が引き取ることになったのだった。

堺は、自身またはしかるべき者に任せて養育させるか、寄宿舎に入れようと思っていたらしい。
何せその時、巽はまだ八歳だったのだ。
橋爪は二十歳になったばかり、いくら秀才といえど世間的に見れば若輩であり、医師としてやっと卵から孵ってヒナになったばかりという存在にすぎない。
勤務も食事も不規則な、激務である医師と子供の二人暮らしなどもっての他だっただろう。

巽は橋爪と離れたくないと言い張ったし、橋爪もそれにほだされたかのように同意した。元々熱意の強い橋爪のこと、止めても無駄と判断したのだろう。
それから二人の暮らしが始まった。

「紫乃。10分経った」

自分の考えに浸っていた橋爪は、浴室の扉を外から叩かれてハッと我に返った。
「今出る」、そう慌しく答えて橋爪はシャワーを止め、タオルを手に取った。



「昨日遅かったんだから、もう少し労わってくれてもいいんじゃない」
「知ってる。だからギリギリまで寝かせてやっただろ」

そう返されて、橋爪は小さく唇を尖らせた。
対外的に見た場合、橋爪が世話をしていると思われがちだった。だが、実質のところそれは正しくない。

現に今も、寝起きの悪い橋爪がシャワーを浴びて覚醒する間に巽は朝食を作っていたらしい。見た目も美しい卵料理と温野菜、ハムとスープとパンがテーブルの上に並んでいた。

「…。いただきます」

どうぞ、という声に促されて食べ始めると、いつものように巽が橋爪の背後に立った。
そのまま無言でドライヤーを橋爪の頭に当てはじめる。行儀が悪いのは承知だが、ここで乾かさないと間に合わない、というのが巽の主張なのだった。
いいよ、と言っても「いいから食ってろ」と負けるのが常だ。

二人で住むことになってからは、まずは堺のはからいでセキュリティもしっかりしているマンションに引っ越すことになった。橋爪の給料だけでは払うと生活できなくなるほどの、設備も整った部屋だった。
管理人が常駐するそこは不審人物は入れないし、警備も万全で、芸能人も入居しているほどだった。

最初の数年は家政婦が家のことをこなしていたが、中学校に入ってからは巽がすべて家のことを行うようになった。

巽は、何をやっても器用だった。
元々巽は両親が不在がちだったため、一人には慣れている。
料理、掃除、掃除、すべてに置いて卒がない。どんなに疲れて帰っていても食事と風呂と、着替えが用意してあり部屋は常に整えてある。
病院に泊り込みになった時は、さりげなく着替えを届けに来てくれることもあるほどだった。
それでいて成績優秀で、首席を譲ったことはないと言う。

身長も伸び、小さかった巽は今では橋爪と拳一つほどしか変わらない。
それでいて、あの勁い目は今でも変わらない。
それどころか年々性格が秘密主義になってきているようで、余裕の笑みで躱されることも多くなってきていた。

「紫乃」
「なに?」
「今日早く帰れる?」
「多分…大丈夫だと思うけど。何で?」

「ん、たまには二人でゆっくり食事でもしないかって思ってさ。紫乃の好きなもの作るよ」
「………」

橋爪はドライヤーだけではない熱を頬に感じた。
こんなことを、最近さらりと言うようになってきたのだ。その度に橋爪は胸のうちに得も言われぬ幸福のような、何かじわりとした熱を覚えるようになってきた。

それでも、橋爪は巽と居るのが心地よいのだ。時折こうして、やりこめられた後に甘やかされても。

わかった、とぼそぼそと答えると背後の巽の機嫌がよくなったらしい。橋爪の髪をやさしげに梳いては、落とした。

橋爪は、時折どちらが保護者なのか分からなくなるほどだった。




西脇巽15歳、橋爪紫乃28歳。
どこまでも続くかに思われた生活は、ある日突然の終わりを告げる。



*********************

こんな感じですか!
ふう、書いた。
(何だこのご都合的なバカップルは)
一気に書くと疾走感や爽快感はありますが、微疲れますね。

つーかなんて適当な文なんだ…。
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