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サイト日記。G-DEFEND西橋カプ多し。
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アレ(12/30モノ)のタイトルはスバリ、


「委員会がみてる」


でいいですかね。ダグが見てる、じゃちょっと文字が足りない。
それとも「警備隊がみてる」の方が良かったか。

設定は多分、隊長・副隊長・外警班長が薔薇さまです。
隊長はキャプティエン(そのまんまやな)、
副隊長はヴィス・キャプティエン、とかどうですかね。

外警は…出てこないな。 
直訳すると un chef de garde のあとに des l'assmblee とか de parlement とかが付くのかな。
長い。そして思いつかない。
(ああ定冠詞の何と難しいことよ)
面倒くさいから、金の隊長と白銀の副隊長と、銀の外警班長でどうよ。 

「副隊長!」と呼ぶところへ、フリガナが「ヴィス・キャプティエン・アン・プラティン」とか付くんですよ(うぜー…長いし)。
ていうかむしろ、泉に落とした斧だこれ。

「ドクター、…その」

石川の物言いたげな目に橋爪は気づかぬふりで、血圧の値をカルテに書き込んだ。




翌日の医務室。
健診の為に訪れた石川を橋爪は淡々と出迎えた。
ただ余計なことは言わず己の業務に集中する橋爪は、他人を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているのだろう。事実、看護師も一言たりとも無駄なことは喋らない。

「………」

石川の言いたいことは分かっている。昨日の、『西脇からの兄弟申込を断った件』に違いない。

あの時、見物人の中には当然石川もいた。
「プロポーズ断られたな、西脇」などと薄笑いを浮かべていたクロウとは違い、最初はひたすら驚いたような、断った後は何とも言えない複雑な顔をしていた。
橋爪は石川が好きだ。明るくて前向きで、時折落ち込んで。良い友人のように話すことが出来ていた。橋爪とて石川を困らせるのは本意でない。
しかし、だ。

―――西脇は誰でも良かったのだ。

「…何でしょう」

橋爪がようやく低めの声で返すと、それでも石川はどこかホッとしたようだった。

「昨日のことだけど」
「はいチクッとしますよ」
「え …!」

やはりその話だった。有無を言わせず、橋爪は石川の腕に針を刺した。

「どこか違和感はありますか」
「い、いえ」

そのまま石川は黙り込んでしまう。
採血を終えた後、橋爪は止血帯を外した。

「はい、ここ押さえてください」
「あ、はい」

手早く綿にテープを貼り、採血を終えた瓶に名札シールも貼って橋爪は石川に背を向けた。
そのまま石川が行方の失った問いを抱いて困惑しながらも、晒していた腕を仕舞い始めるのを背で聞いた。

「…西脇さんが私にあのようなことを仰られたのは、たまたま私が通りかかったからですよ。偶然なんです」

カチャカチャと、器具を片付ける指先に向かってそう呟く。
その声は音に大分がかき消されたようだったが、石川の耳には届いたのだろう。「ドクター」と石川が橋爪をどこか痛ましいように呼んだ。




西脇がいきなり申し込んで来た経緯は、橋爪の推測とそう違わなかった。
誰でも良かった。そう、ただの場繋ぎ。
そんな戯れに付き合わされるのは真っ平御免だ。

彼はいずれ、本当に兄弟にしたい優秀な部下や可愛い後輩―――そう、羽田や池上のような者―――を見つけるだろう。

「はい、視力検査と聴力は終わっていますね。次は心電図です。横になってください」

そのまま石川を検査台に促す。
検査は問題なく終わった。
そのままうやむやにされてはくれないか、と思ったものの石川はそれで退かなかった。

「あのさドクター」
「何でしょう」
「最初は驚いたけど、お似合いだと思うな」

内科検診で、正面に座った橋爪に石川はそう言った。
聴診器の先を持った手が、一瞬止まる。石川は何を言っているのだろう。聴診器を耳に充てているから、変な音が聞こえたのだろうと橋爪はそう思うことにした。

「…何のことです? はい息を吸って」
「西脇だよ」

今度ははっきり言われた。

「西脇はたとえ通りすがりであろうと、冗談であんなことを言う奴じゃない。あいつは元々、兄弟制度に否定的なんだ。それを俺たちの前で言ったってことは、本気なんだと思う」

それもまた逃げて、橋爪はカルテに向かい手を動かす。

「今回はこれで良いでしょう。結果はいつものように───」
「ドクター」

声音を替えてそう柔らかく言われると、石川には抗えない。彼にはそういう力があった。
橋爪は、手を止めてペンを置くと、静かに振り返った。
石川はどちらが医者なのか分からない、穏やかな瞳で橋爪を見ていた。
彼に促されて、口を開く。

「……規定に反してるでしょう。そもそも弟は、後輩や部下から選ぶもので」
「縁故を拡げる意味なら可能じゃないかな。実際、城教官のお兄さまは警察の官僚の方だったし…」

「………」

石川の口から『お兄さま』などという言葉が当たり前のように飛び出すとは。
半ば驚き、半ば恥ずかしさを覚えながら橋爪は聞き返した。

「え…と、石川さんは、どなたかからバッジを貰ったりなさったことはあるんですか」

すると石川の頬が少しだけ赤く染まった。

「…俺は、その。教官のが欲しいなーって思ってたけど、補佐官にしてもらった時も全然そんなことは何もなかったし」
「う…っ、石川さん、いけません! そんな顔をなさっては!」
「?」

慌てて橋爪は石川を制した。
看護師は気を利かせて席を外していたようだ。それに少しだけ安堵しつつも、橋爪は真剣に石川と向き合った。

「そんなお顔をなさってはいけません。岩瀬の前でも。良いですね」
「あ? ああ」

石川は本気で分かっていないようだ。
先程は本当に危なかった。
潤みを見せた瞳、ばら色に染められた頬。しっとりとした睫、憂いを帯びた表情。

可愛いとも色っぽいとも言える顔だった。あんな表情を見せられて、惑わない人間がいられるだろうか。
───西脇でも。

そう考えると胸がどき、と痛んだ気がした。

「…ドクター?」

問われて我に返った。知らない間にぼんやりしていたらしい。
今何を考えただろう。西脇でも、石川に惑うのかとそんな埒もないことを考えた。その後に何を考えた?

「とにかく。私と兄弟になってもあの人には何のメリットもありませんから」

石川に向かい、橋爪は強い口調で言った。
石川はそれでも何か言いたげな表情をしていたが、それ以上は会話にならなかった。




一人になって、橋爪は珈琲を前に考えた。

西脇の申し出、あれはまるで告白のようだった。
もし橋爪があのバッジを受け取っていたら西脇をどう呼ばなければならなかったのだろう。
 
「巽さん…巽さま、お兄さま?」

…考えて気持ちが悪くなった。あの西脇に『お兄さま』…。

「うえ」
口にした珈琲が不味かったわけではないが、橋爪は顔をしかめてマグをデスクの上に戻した。

『あいつは元々、兄弟制度に否定的なんだ。それを俺たちの前で言ったってことは』

石川の言葉が先程から脳裏を行き来している。
橋爪は机の上のカップ、そのわずかに動く波紋をじっと見ていた。

『本気なんだと思う』
「…まさか」

軽い笑いを漏らそうとして───止まった。

知っていたのではないだろうか?
健診を逃げ回るくせに珈琲をねだる彼。見た映画、美味しい酒の銘柄。飛行機の中で読んだ雑誌の興味深いコラム、政治情勢のことから話題が尽きることはなかった。
何度か、偶然外で出会って食事を共にしたこともある。

人間の関係は、全てが約束で成り立つ、と誰かが言った。
だから人間は無意識のうちにそれを求めるのだと。縁をつなぎたいから、約束を重ねるのだと。
もう二度と会えなくても「また」と別れるのはそこに、希望を見出しているから。

だったら西脇と橋爪は何だろう。

確固たる約束をしたわけではない。「いつか行こうか」と言われて、「いいですね」と笑っただけだ。
それで充分だと思っていた。
明確なものにしなくても、何か見えないものがあるのだと思っていた。

そしてそれは、西脇からでも橋爪からでも、いつでも切れるものだったのだ。今、気付いた。
愕然とした。

「…まいったな」

正直、怖い、という気持ちの方が大きい。

もしかして西脇は、曖昧な「それ」を断ち切りたかったのかもしれない。そしてもっと強いものを持ちたかったのだとしたら、どうだろう。
確かに橋爪は悦んでいる。もし彼の特別になれるのだとしたら、と思うと嬉しいのだ。それは否定できない。ただそれが戯れであったら、いつか彼の方が関係の解消を申し出てきたら。
橋爪が思うほど、彼が橋爪を特別に思っていなかったら。

誰とも関係を持ちたくない。陽はもういない。あんな風に無条件に笑い合えた人はもういないのだ。
そこから殻を脱ぎ捨てて、一緒に居て心地よいのだけれども傷だらけになりそうな人間の側に行くのが、怖い。
でも。

『西脇はたとえ通りすがりであろうと、冗談であんなことを言う奴じゃない』

───ええわかっていますよ石川さん。

あの時、まぎれもなく橋爪が石川に嫉妬したことも。
そうして橋爪が逃げ続けていると、西脇との縁も既に切れてしまうかもしれないこともだ。

もしかしたら西脇は、あと何日かしたら何事もなかったかのように顔を出してくれるのかもしれない。バッジのことなどおくびにも出さず、他愛ない会話と関係を楽しむのかもしれない。

ただあの一瞬。
強い強い意志を見せたあの瞳が彼の本音だとしたら。

「………」

もう逃げられないような、気がする。

「ドクター?」

そう思ったとき、背後から声がした。
扉の向こうから、聞きなれた男の声がした。「入ってもいいかな」、珍しくそう伺いを立てる彼。今まではそんなことはないかったのに、と寂しさが胸を掠める。
どうしよう、沈黙ばかりが橋爪の口を縛る。
答えられないでいると、彼は踵を返してしまうかもしれない。でも口が震えて動かない。

───あなたが好き。

その瞬間、思った。
開かない扉の向こう、その前に立つ男に。突如として湧き上がった想いに驚いた。それなのに答えられない。何と答えていいのかが分からない。
そんな嵐に揺さぶられながらも、橋爪はふるえる手指を机の端にかけ、高鳴る胸を抱えながらゆっくりと立ち上がった。




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書きたかったのは「お兄様」だったりする。
まあいないとは思いますが、続編希望なんて…あるわけないか。

西脇はそりゃまあ、ドクターが好きでしょう。
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